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読書の秋におもうこと・・・

今年は夏が長~くて秋が短かった。。。そんな声も聞かれますが、やはり日ごとに寒さを増しているような気がしますね。

 

さて、もう秋も終わりかけ(?)かもしれませんが、秋といえば「読書の秋」。

私、今年はすっかり本にはまっております。

 

最近読み終えた本は、ジョージ・オーウェルの『一九八四年[新訳版]』(早川書房)。

 

ストーリーは、本の裏表紙を一部引用させて頂くと、

 

<ビッグ・ブラザー>率いる党が支配する全体主義的近未来を舞台に、真理省記録局で歴史の改ざんを仕事としながらも体制に不満を抱いていた主人公のウィンストン・スミスが、ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが・・・・・・、というものです。

 

しかし、なぜ私がこの本を読もうと思ったのか。その動機はストーリーに興味を持ったからでもなければ、ジョージ・オーウェルの大ファンだったからでもなく、はたまた村上春樹の『1Q84』に触発された訳でもありません。。。

 

 

 

その動機は、この本が「ある場所」で書かれたということをふと思い出したから、というかなり微妙なものでした、実は。

 

ジョージ・オーウェルが『一九八四年』を書いた場所とは、スコットランド西部に浮かぶジュラ島という小さな島でした。

 

このジュラ島は、ウィスキーの島として知られるアイラ島のすぐお隣りにあって、土屋守さんの『モルトウィスキー大全(改訂版)』によると両島の間の海峡は狭いところで800mくらいしか離れていないそうです。

 

ジュラ島にも一つ、「アイル・オブ・ジュラ」という蒸留所があります。左の写真の中で地図の右側に載っているオレンジ色の広告がその蒸留所のものです。

 

ちなみに、この地図は「オーバン・タイムズ」というこの地方の新聞社が作っている観光マップで、イラストがとてもキレイなので我が家ではポスターとして飾っています。

 

オーウェルがこの小説を書いたジュラ島という場所が、そのストーリーとはまったくかけ離れたところで、極東の島国に暮らすウィスキー好きのココロをくすぐったという訳です。。。

 

話が横道に逸れてしまいましたが、読後感としてはオーウェルの強烈なメッセージとその世界感にすっかり打ちひしがれてしまったという感じです・・・。(私にとっては、やや難解な部分もあり、普段あまり使わない脳みそを酷使したためかもしれませんが。。。)

 

そこで次は「もう少し軽いテイストの本を読みたいなぁ」と。。。

 

普段ならネット書店で気になっている本を検索して「ポチッ」と注文するのですが、今日はとくに読みたいと強く思う本もなかったので会社帰りに近所の本屋さんに立ち寄ってみることにしました。

 

偶然にも、そこで出会ったのがこの本でした。

 

『ぼく、牧水!』

 

なんとも人を食ったようなタイトル。

 

この本は宮崎が生んだ世紀の酔いどれ詩人(失礼!)、若山牧水の詩について、俳優の堺雅人さん(「篤姫」の徳川家定役が印象的でした)と伊藤一彦氏(堺雅人さんの恩師らしいです)が語り合うという内容。

 

今年の9月に出版されていたようです。

 

またまた話が逸れてしまいますが、私が若山牧水のことを知ったのは、熊本市内に勤務していたころに通っていたあるバーで彼の詩のことを教えてもらってからでした。

 

その夜、どういう話の流れで若山牧水に話題が及んだのか、はっきりとは覚えていませんが(きっと酒のせいでしょう・・・)、たしか彼の

 

「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」

 

という詩をかつて店内に貼っていたとか、特定の方が来店したときにすぐに貼れるようにカウンターの下に忍ばせておいたとか、そんな過去の笑い話だったかと思います。。。(真夜中のバーで交わされた楽しい会話は、懐かく、そしてよき思い出です☆)

 

 

 

さて、ここまで私個人のとりとめもない話を延々と書いてきた訳ですが、じつは今日の話はここからが本題です。

 

今日、私がこの『ぼく、牧水!』(角川グループパブリッシング)という新書と出会えたのは本屋さんに行ったからに他なりません。

 

今日の私の頭の中には「若山牧水」や「堺雅人」といったキーワードはまったくありませんでした。(おそらく明日も、明後日も、二週間後も思い浮かばなかったでしょう。)

 

これは、今日の私にとってネット書店ではこの本に辿り着くことはほぼ不可能だったということを意味しているのではないでしょうか。

 

たまたま訪れた本屋さんの新書コーナーに、たまたま平積みされていて、たまたまその山が少々低くなった所にあった一冊の本。そして、たまたまそこに見覚えのある「牧水」の文字があったと。。。

 

つまりは、そういうことなのです。

 

私はネット書店をよく利用しますし、おおいにその恩恵にあずかっています。

正直、店舗型の本屋さんから足が遠のいていたかもしれません。

 

でも、今日、思いがけずこの本と出会えたことに深い満足感を覚え、店舗型の本屋さんの魅力を再発見することができたのも確かです。。。

 

そして、なぜだか少し複雑な気持ちになったのも確かです。。。

 

・・・帰宅後開いたパソコンの画面上、Yahoo! JAPANのニュースには、<Amazon.co.jp、通常配送が無料に>という記事と<出版大手10社中8社が減収に「出版・取次・書店総倒れ」>という2つの記事が掲載されていました・・・。

 

投稿者:圓佛 明

 

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